さて、2016年は皆様にとって、どんな年だったでしょうか。一年を一字で表すと、昨年は「金(きん、コン、かね、かな)」となりました。
リオ五輪での日本人選手金メダルラッシュ、レスリングでの伊調馨の五輪4連覇等が思い起こされます。さまざまなニュースが流れた昨年ですが、その中においても、世田谷区聴覚障害者協会は聞こえない人、聞こえにくい人、聞こえる人がともに安心して生活できる社会を目指して活動を重ねてまいりました。
協会会員の皆様、世田谷区登録手話通訳者連絡会、要約筆記サークル言の葉、手話サークルたんぽぽ、手話サークル輪の会とともに活動や行事を行えたのは、年ごとで見ますと小さなものですが、5年、10年単位で見ますととても大きな積み重ねとなっています。これは世田谷区における活動で欠かせない連携ともいえます。今後もこの関係をより強固なものにし、ともに運動を重ねていきたいと考えております。
2016年4月、障害者差別解消法が施行されました。しかし、約1年が経とうとしている今でも、聴覚障害者や盲導犬等の入店を拒んだ飲食店が存在するなど、まだまだ障害者差別解消法の精神、理念は社会に思った以上に広まっていません。民間事業所は努力義務とはいえ、「名前は知っている」「聞いたことがある」だけでなく、社会における障害者への差別が真の意味でなくなるよう、理解を広めて聞こえない人、聞こえにくい人、聞こえる人がともに地域社会の一員として安心して生活できる世田谷区、社会を目指し、今後も活動を少しずつ積み重ねていく必要があります。
昨年1月、倉方名誉会長はさぎそう1月号に寄せられた新年のあいさつにてこう述べられています。
『協会活動は、小中学校などの毎年変わるクラス委員やサークルの世話役等とは違い、世田谷区の聴覚障害者福祉全般に目を向けての対応が必要なのです。役員を担うとは「当事者として聴覚障害者に奉仕すること」でもあり、聴覚障害者の立場で区政に提言し住み良い地域社会をつくっていく役目があります。』
協会役員一同、この言葉を肝に銘じ、世田谷区から委託を受けている手話通訳派遣事業、手話通訳者研修事業、手話講習会事業や、共同生活援助施設「さぎそうハウス」運営、土の会5団体で構成される参政権保障委員会、たましろ委員会等につきましても、当事者や関係者が協力し合っての運営ができるよう、聴覚障害者当事者の立場で活動を展開してまいります。
最後になりますが、2017年も、世田谷区において聞こえない人、聞こえにくい人等さまざまな人々にとって安心して生活できる世田谷区を目指して活動してまいりますので、どうぞ皆様方からのご指導ご協力を賜れますようお願い申し上げ、新年のあいさつとさせていただきます。
2017年 元旦
NPO法人 世田谷区聴覚障害者協会
会長 唯藤節子