回答をいただいた順に掲載します。 世田谷区聴覚障害者参政権保障委員会
きこえない人・きこえにくい人に関わる政策に関する公開質問状 |
謹啓 春暖の候、貴党・会派におかれましては益々ご隆盛の段お慶び申し上げます。更に、日頃世田谷区のきこえない人・きこえにくい人の生活環境の向上のためにご尽力いただき厚くお礼申し上げます。 さて、世田谷区議会議員選挙の日程が4月16日公示、4月23日投開票と発表されました。選挙を前に、当協会では世田谷区議会各政党・会派にきこえない人・きこえにくい人に関わる政策についての考えをお聞きしたく、別紙の質問状を提出することにいたしました。 ご回答(無回答も含め)は告示前に当協会や参政権委員会構成団体の機関紙やホームページ上に掲載させていただきます。 ご多忙のおりとは存じますが、3月20日までにご回答いただきたくどうぞよろしくお願い致します。 謹白 ★参政権保障委員会構成団体 1.世田谷区の公共施設内の「手話カフェ」設置について 2.きこえない人・きこえにくい人への災害時支援について |
世田谷区の公共施設内の「手話カフェ」設置について
わが党も推進してきた、「世田谷区障害者理解の促進と地域共生社会の実現を目指す条例」が制定されました。
聴覚に障害がある方もそうでない方も、また、手話ができる方もそうでない方も、分け隔てなく交流できる場の開設には賛同するものであります。
その意味において、新庁舎の開設に合わせて交流の場を作ることが望まれます。
現在、区民利用施設総合運営計画においても区民会館や区民交流スペース、広場及び屋上庭園等、区民の皆様が利用できる施設整備計画が進められていますので、こうした、誰でも利用できる新庁舎などの場等を活用し、貴会の趣旨を生かして場づくりの環境整備に努めて参りたいと考えています。
また、「手話言語条例」(仮称)の検討過程における議論においても、こうした趣旨が反映できるよう、議会でも力を入れて参ります。
きこえない人・きこえにくい人への災害時支援について
阪神淡路大震災から28年、東日本大震災から12年が経過しました。尊い命の犠牲のもと、私たちは災害弱者といわれる方の支援の重要性を学びました。そうした、ことからわが党は、どの党よりも災害時に自力で避難できない方(災害弱者)の支援に力を入れてきました。
勿論、自助と在宅避難等が基本となりますが、これまで、公明党世田谷区議団の提案で、「災害 防犯情報メール配信サービス」の配信、「電話・FAXによる災害時緊急情報配信サービス」の実現等を推進してきました。
またこれまで、世田谷区の「避難行動要支援者」対策の取り組みが遅々として進んでこなかった事から、公明党世田谷区議団の強力な推進で、現在は災害時「避難行動要支援者」の実効性のある個別避難計画の着実な作成に力を入れるよう推進しています。わが党は、地域のマンパワーをそうした個別計画に取り入れたいと者えています。
今後は、この個別避難計画が進むように力を入れると同時に、区民の聴覚障がい者理解を進めるための「防災マニュアル」の作成、携帯の操作ができない方への個別支援、避難所における指差しボードの配備など一層の努力を進めて参りますので、忌憚のないご意見を賜れば幸いです。
公共施設内の「手話カフェ」について
生活者ネットワークは、令和4年9月の第3回定例区議会、田中みち子の一般質問において、手話を職場内での共通言語とした「手話カフェ」を、新庁舎や公共施設内につくり、区民が気軽に手話に触れ合い、聴覚障がい者の就労にも結び付く場づくりを求めております。
この時は須藤 障害福祉部長から、「こうした障害のあるなしに関わらず、同じ場所で共に働き、そこに人々が自然に訪れるというような場は、障害理解の促進につながります。今後、お話の事例なども参考に、障害者団体や民間事業者、関係機関などからの御意見をいただき、課題を整理しながら検討してまいります。」との答弁を受けました。
まだまだ区は、課題整理という段階のようですが、生活者ネットワークでは新たにできる本庁舎内の区民交流スペース等での手話カフェの設置など、タイミングを見て、粘り強く求めていきたいと考えております。
きこえない人・きこえにくい人への災害時支援について
こちらにつきましては、令和3年9月の第3回定例区議会で、その当時制定過程であった「世田谷区障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例」に関連して高岡じゅん子が一般質問で災害時の緊急情報など、命に関わる情報や暮らしに欠かせないお知らせが、聴覚障害、視覚障害、盲聾などの重複障害といったそれぞれの障害特性に合った形で提供される情報保障の視点は欠かせないとし。区の責務としての情報保障の位置づけについて見解求めました。
この時も須藤 障害福祉部長から、「障害のある方が必要とされる情報を的確に提供するためには、画一的に対応するのではなく、その方の障害の状況を踏まえた柔軟な対応が必要であるというふうに考えております。せたがやノーマライゼーションプランでは、情報アクセシビリティーの向上を施策の一つに位置づけ、多様な電子媒体を活用した即時性のある情報提供等に取り組むことにしております。また、昨今の先進技術の進展を鑑み、ICTを活用した支援の検討も重要であるというふうに認識をしてございます。障害者の日常生活への支援はもちろん、災害時など緊急時における情報伝達は、安全かつ安心な行動につなげるために重要であるというふうに考えております。そのため、どのような内容が有効なのかなどについても、当事者や団体等から意見を伺って、条例の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。」との答弁を得ています。
その後できた条例では、第4章に情報コミュニケーション推進のための施策が位置づけられました。この間、国においても、聴覚障がい者団体の方々の活動が実り、令和4年5月に「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律」が成立したと聞いております。
特に、災害時の情報アクセシビリティーの確保に関しては、一番最近では令和3年の12月議会一般質問で、金井えり子が「人道憲章と人道支援における最低基準、スフィア基準に、支援や防災計画立案の際は障害者の能力とニーズを考慮に入れ、意識して、物理的またはコミュニケーションや周囲の差別的概念などの問題を取り除き、彼らの支援へのアクセスと参加を促進するようにするとあります。避難所の備蓄品の中に、その避難所に避難される方に必要な情報やコミュニケーションツール、支援グッズはあるでしょうか。例えば透明マスク、聴覚障害の方や慣れない状況で人の顔の表情から様々読み取ることが必要な方もいます。ほかにも障害によって必要なものがあるかもしれません。地域でその避難所を利用する方に必要な支援グッズを、当事者御本人と話して準備し、避難所運営の方々にも理解していただくことが必要です。見解を伺います。」と質疑。
この時は菅井 危機管理部長から、障害のある方の情報伝達物品の備蓄とその活用や工夫について「御提案いただきました透明マスクやなどにつきましては、日常においても必要とする場面があると考えられることから、障害者支援の取組と連携し、日常の使用も想定しながら、他自治体の取組や当事者の意見を参考に調査研究を進めてまいります。また、避難所運営や支援に当たる方々に対しまして、こうした物品の必要性や活用方法について理解を深め、各避難所の実情や要望に合わせて、物品配備を支援していきます」という趣旨の答弁を得ています。
今後も、各地区での避難所運営訓練などに当事者の方々と参加するなど、具体的な物品配備につながる活動を続けていきたいと存じます。聴覚障がいの皆様に対する災害時の情報保障に関して実効性のある施策を求めていくためにも、皆様からの当事者目線でのご提案などいただきつつ、いつかは必ず起こる大災害にともに備えていきたいと考えております。
以上、回答といたします。これからも、聴覚障がい当事者の皆様の、お声を聞きわたくしたちの政策を進化させていきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
3.世田谷立憲民主党区議団
世田谷区内の「手話カフェ」の設置について
世田谷区は、昨年9月に「障害理解の促進と地域共生社会の実現をめざす条例」を制定し今年1月に施行しました。この条例制定議論では、手話言語を独自の文化を持った独立した言語として考えていくのか、単なる情報伝達ツールとして捉えるのか、が問われました。立憲民主党は議論を重ねた末に、手話言語を独立した文化を持つ言語として捉え、「手話言語条例」の制定を求めました。
ご質問にある公共施設に「手話カフェ」の設置を進めていくことは、この条例の具体的な取り組みとして、区民の日常生活に手話言語を身近にすることにもつながります。また、手話言語を第一言語としている方々の安心していられる場所にもなります。
障害のあるなしにかかわらず共に生きる地域共生社会をめざす取り組みとして、公共施設への「手話カフェ」の設置は意義のある取り組みだと考えます。
きこえない人・きこえにくい人への災害時支援について
災害対策では、誰ひとり取り残さない支援が必要です。特に、情報が行き渡らないことによって命の危険にさらされるリスクが高まらないようにすることは、あらゆる区民にとって重要政策です。世田谷区は在宅避難者がほとんどであることから、きこえない人・きこえにくい人への支援は、孤立化させないことを基本として検討することが求められます。
きこえない人・きこえにくい人への支援として、災害情報の速やかな文字化を進めることや避難所では情報の全てを文字化することを基本にすること、音声による情報伝達は文字化と手話言語の使用も可能にする準備が求められます。
また、きこえない人・きこえにくい人が自分の意思を伝えたり相談しやすいように、避難所運営に携わる人や地域支援に携わる人などがきこえない人・きこえにくい人への理解を深めるための研修を行うこと、手話言語が使える人がどの人なのかわかるように工夫して孤立させないこと、相談場所には手話と同時に筆談を可能であるようにすることなども重要です。
きこえない人・きこえにくい人が災害時に、何が起きているのか、被災後の現在の支援は何が得られるのか、などの情報と支援が誰もが同じように届けられるように、取り組みの具体化を求めてきます。
災害時の対応が可能にするためには、日常からきこえない人・きこえにくい人・きこえる人が共にコミュニケーションをとっていることが大切です。1問目にあった「手話カフェ」の開設は、災害時を想定しても、つながりをつくり知り合い理解し合うためにも求められる政策だと感じています。
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